■日本が負った「ハンデ」と完敗後の新たな「希望」

 気の毒だったのは、アメリカ戦の会場となったジョージア州アトランタのメルセデス・ベンツ・スタジアムのピッチ状態だ。

 アメリカン・フットボールのNFL(ナショナル・フットボールリーグ)のアトランタ・ファルコンズやMLS(メジャーリーグ・サッカー)の本拠地で、2026年の北中米ワールドカップでも多数の試合が行われる予定になっている新しいスタジアムだが、ピッチは人工芝だ(大きな屋根が付いた構造では、天然芝の養生は難しいだろう)。

 そして、今回はこの天然芝の上に天然芝を敷いて試合が行われていた。

 そのため、一見きれいに見えるピッチもしっかり根付いておらず、かなり柔らかそうで、パス・スピードも殺されてしまう。

「コンディションは両チーム同じ」とはいっても、グラウンダーのパスをつなぎたい日本としては、やりにくいコンディションだったはず。一方、長い、あるいは速いパスを敵陣に入れて、走力で勝負しようというアメリカにとっては影響は少なかっただろう。そして、おそらくアメリカの選手はこうした人工芝の上に天然芝を敷き詰めたようなピッチで試合をした経験が多いはずだ。

 そういう影響もあって、「シービリーブスカップ」でのアメリカ戦は完敗という結果に終わったが、この試合での経験が大きな教訓となればいいのだが……。

 ただ、先制ゴールを決めた清家貴子は、これからも好調を維持すれば、代表の攻撃のリーダーの1人になりうる。多数のポジションでプレーできるのも清家の魅力だ。

 また、アメリカ戦で先発起用された谷川萌々子は5月に19歳になる若い選手だが、得点場面だけでなく、中盤の底で守備力の高さを見せた。何よりも、アメリカの選手たちにも対抗できるだけのフィジカル的な強さが魅力だ。

 若い谷川を今後もフル代表に置いてオリンピックを経験させるのか、それともコロンビアで開催される女子U-20ワールドカップを目指すチームのリーダーとすべきなのか……。彼女の将来にも関わる大きな選択だ。

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