後藤健生の「蹴球放浪記」第207回  サッカー日本代表と訪れた「テヘラン」と「平壌」の共通点【北朝鮮とイラン、2つのW杯予選をつないだ花】(2)の画像
テヘランでもレンギョウの花に囲まれた。W杯予選イラン戦のADカード。提供/後藤健生

 日本はいよいよ本格的な花見のシーズンを迎える。蹴球放浪家・後藤健生にとって、花も取材活動を彩る対象のひとつだ。日本のスタジアムで花見をするなら、どこがいいか。そんなことを考えていると、花を媒介にして、1985年の平壌、2006年のテヘラン、2つのワールドカップ予選会場の姿が重なった。

■首都テヘランで思い出した「20年前の景色」

 イランの首都テヘランでレンギョウの黄色い花を見たのは、2006年のドイツ・ワールドカップのアジア予選が行われたときでした。ジーコ監督の日本代表がテヘランを訪れたのは、2005年3月下旬のことでした。

 試合会場は10万人収容のアザディ・スタジアム。スタジアムは大きな公園の中にありました。現在は、スタジアム周囲にスポーツやエンターテインメント施設がびっしりと建ち並んでいるようですが、当時はスタジアムのそばにも自然がたくさん残っていたので、僕はスタジアム周辺を散歩してみました。小さなグラウンドでは、地域リーグレベルの試合をやっていました。面白かったのは、背番号もアラビア文字の数字で書いてあったところです。

 そして、ここでも黄色いレンギョウの花が咲き誇っていました。

 その花の中を歩いていると、僕は突然、ちょうど20年前に見た平壌の景色を思い出したのです。

 黄色いレンギョウの花に囲まれていたからだけではありません。テヘランの光景が、どこか、平壌の景色と似ているのです。

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