■山脈を越えて西側に行くと「大陸的な景色」に
朝鮮半島の南部の景色というのは、日本とあまり変わりはありません。たとえば、坂道だらけの釜山(プサン)の街を歩いていると、長崎の街を思い出すことがあります。地形も、地質も(たとえば山の形)、気候も(湿潤性)日本と大きな違いはありません。
しかし、朝鮮半島の東部(東海=日本海側)を南北に貫く太白(テベク)山脈を越えて半島の西側に行くと、なんとなく景色が大陸的なものに変わります。
ソウル市内を流れる漢江(ハンガン)は大陸の河を思い起こさせるような雄大な流れですし、土も日本海側に比べて乾燥しています。気候も大陸的で冬場は本当に空気が冷たくなります。冬の間、日本に張り出してくる寒気団は、大陸から朝鮮半島を越えて日本列島にやって来るわけです。
その、乾燥した大地はそのまま中国東北部(満州)からモンゴル高原、シベリアを通ってロシアの平原、さらにポーランドやハンガリーの平原までつながっているのです。モンゴル帝国をはじめとした、遊牧民族が行きかったユーラシアの大平原です。
そして、テヘランのあるイラン高原もその一角なのであり、だから、一面に咲くレンギョウの花を見ながら、僕は大平原の東の端に当たる平壌の光景を思い出したわけです。