■「練習生みたいになってたので(苦笑)」
前半の早い時間帯に、ボールにチャレンジした正当なチャージがイエローを提示される不運な場面はあったが、前からのプレスを後ろから支えて、対面する運動量の豊富な菊地泰智、爆発的なスピードを誇る途中出場の横山歩夢にも、決定的な仕事を許さなかった。そうした個人能力の高い相手の方が乗ってくるという石原らしい対応だった。
「自分なりの良さは見せられたと思うので。それは1つ良かった点はありますけど、結果のところはもっと求めてやっていかないといけないと思う。オーバーラップの回数だったり、ゴールに向かう回数を毎試合、1つ2つしっかり増やしていきたい」
そう振り返る石原はアカデミーを過ごした湘南ベルマーレから、新たなチャレンジの環境を求めて浦和にやってきた。「日本を代表するサイドバックの酒井宏樹に挑戦できる。そんなチャンスは日本にてなかなかない」と意気込んでいたが、沖縄キャンプからなかなかファーストチームに絡めないばかりか、一時期はサブ組のBチームからも外れて、紅白戦のメンバーからあぶれたこともあった。
「練習生みたいになってたので(苦笑)。まあCチーム、本当に構想外なのかなと思ったりしていた」
そうした石原は古巣でもある第5節のアビスパ福岡戦でようやくベンチ入り。その試合は出番なく終わったが、前節のFC東京戦で浦和の選手として初めて公式戦のピッチにたった。後半の早い時間帯に酒井が負傷交代を強いられて、左ウイングから渡邊凌磨が右サイドバックに回る形で対応していたが、ヘグモ監督は終盤に大畑歩夢に代えて渡邊を左サイドバックに移し、右サイドバックに石原が投入された。
その時は短い時間で「考えすぎちゃって」と振り返る石原にとって消化不良の浦和デビューとなってしまったようだが、スタメンとして準備して臨んだ鳥栖戦では「すごく無心でやれて、(サポーターの)すごい後押しがある中でやれて楽しかった」と充実感のある笑顔で振り返った。
(取材・文/河治良幸)