■平河悠「相手のウィークポイントとしてわかっていた」
千金の先制弾を守り抜き、白星を手にした直後の公式会見。青森山田高から転身を遂げて2年目を迎えている、町田の黒田剛監督がこんな言葉を残した。
「どちらかと言うと、藤本のサイドがかなり手薄になっていた部分があった」
町田の右サイドハーフでは、スピードとテクニックでJ1戦線でも活躍中の、山梨学院大から加入して2シーズン目の平河悠が圧倒的な存在感を放つ。U-23日本代表にも選出されたドリブラーに、川崎も警戒マークをつける。平河が言う。
「攻撃のところは左サイドに任せる、じゃないですけど、左サイドが空くのは相手のウィークポイントとしてわかっていた。その意味でも自分が中に入るとか、警戒されるような囮になって周りの味方を生かす、というのは考えていました」
林を規制するのは、対面の右ウイング家長昭博の仕事のひとつ。しかし、この場面ではほぼプレッシャーをかけず、仙頭を含めて自由にプレーさせてしまった。
家長に代わって66分から投入されたFW小林悠は5分後に、前線への抜け出しからGK谷晃生のDOGSOによる一発退場を誘発。川崎を数的優位に導きながら、最後までゴールネットを揺らせなかった小林が、町田に抱いた思いを明かす。
「みんなが戦って、やるべきプレーがはっきりしている。率直に強いと思いました。それを上回るための技術、といったものが必要になるとあらためて感じている」
10人の町田に敗れた結果を踏まえて、戦い方、メンタル、事前の準備とすべての面で後塵を拝していたと現時点では認める。敵地・町田GIONスタジアムで再び対峙する10月5日の第33節でのリベンジへ。川崎に絶対に譲れない目標ができた。
(取材・文/藤江直人)