【町田に完敗した川崎フロンターレの中で何が起きていたのか(2)】平河悠が「相手のウィークポイントとしてわかっていた」と話したポイントが、66分の交代を“誘引”したの画像
川崎フロンターレの小林悠は家長昭博に代わって途中交代。相手の退場を誘引した 撮影:中地拓也

 自陣の左タッチライン際にいたDF林幸多郎にパスが入った32分。FC町田ゼルビアのボランチ仙頭啓矢の脳裏には、先制点までの経路が浮かび上がっていた。

 中盤の底にアンカーを配置する川崎フロンターレの攻略法として、アンカーの両脇に広がるスペースを自身が突き、攻撃の起点になる形を磨いてきた。

「まず相手のサイドバックを引き出せるのか、引き出せないのか。あそこで右サイドバックが食いついてきたら、そのまま幸多郎から一発のパスで背後、というのもあったし、あの場面では来なかったので僕が縦に入って、スピードのあるサイドハーフの選手を生かす、という形を考えていた。それがうまくはまりました」

 リーグ戦初先発のアンカー、ゼ・ヒカルドの左側のスペースへ走り込みながら、仙頭は右手でパスを要求。林から引き出したボールをワンタッチで縦へ供給した。前方にはあうんの呼吸で、スピードに長けた藤本一輝がすでに走り出していた。

 FW登録ながら左サイドハーフで起用されている藤本の間で、アイコンタクトの類は特になかったと仙頭は言う。あったのは川崎戦へ向けた練習の賜物だった。

「僕がボールを持ったときには常にあのスペースに走ってくれと、サイドハーフの選手には要求していました。練習からお互いのイメージが共有できたと思う」
 川崎の右サイドバック、瀬川祐輔の裏を突いた藤本が絶妙のクロスを中央へ送る。戻ってきたDF高井幸大と動きが重なりかけたからか。GKチョン・ソンリョンもボールに触れなかったファーサイドで、町田のFW藤尾翔太が右足をヒットさせた。

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