■「サッカー強国になっていくために」

 マリ戦で一敗地にまみれ、ウクライナ戦では17本ものシュートを放ちながらフィニッシュの精度を欠いた。アジア最終予選前で最後となる実戦で課題が顔をのぞかせても、JFAの宮本恒靖新会長はポジティブな収穫があったと目を細める。

「どのような内容であれ、勝つことが自分たちのサッカーに対する説得力になる。そのなかで、お互いに要求し合う声がよく聞こえてきた。誰かが何かをやってくれるのを待つのではなく、それぞれが発信する姿勢がこれからは大事になってくる」

 宮本会長も現役時代は、1999年秋に行われたシドニー五輪アジア最終予選を勝ち抜いた経験を持つ。アトランタ世代からバトンを受け継ぎ、連続出場の系譜に名を刻んだ一人だからこそ、21世紀生まれの若手選手たちへエールを送る。

「重圧を乗り越えてこそ次のステージ、次のフェーズに選手たちもいける。サッカー強国になっていくためには、そういった道を歩んでいかなきゃいけない」

 運命のカウントダウンへ入ったAFC・U-23アジアカップでは、出場16カ国中で3位以内に入って初めてパリ行きの切符を手にできる。ヨーロッパ組の山本と藤田の経験を土台に、J1で急成長中の平河らが大暴れする陣容が整いつつある。

(取材・文/藤江直人)

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