■シント=トロイデンの2人
ただ、大岩剛監督もすでに覚悟を決めている。日本サッカー協会(JFA)との交渉の積み重ねで、4月の選手派遣に理解を示すクラブもある。山本理仁と藤田穣瑠チマの両ボランチが所属する、ベルギーのシント=トロイデンもその一つだ。
3月シリーズでも2人はともに招集され、山本はU-23マリ代表戦で、藤田はU-23ウクライナ戦でそれぞれキャプテンとして先発フル出場している。
「僕も穣瑠もキャプテンマークを巻く立場を任されていますけど、例えば穣瑠ならうざったいほど通る声がみんなの士気を上げ、大事なことをハッと気づかせる強みがある。僕はボールをうまくさばくのが得意だと思っていますけど、そのなかでもスライディングであるとか、体を汚しながらみんなを引っ張る、というのを体現したい。お互いの強みでしっかり補い合いながら、このチームをパリへ連れて行きたい」
山本はウクライナ戦後に、U-23代表で担う役割についてこう言及した。ともに昨夏にシントトロイデンへ加入した盟友から、いわゆる“神の声”の持ち主だと称賛された藤田は、ウクライナ戦の65分に鬼気迫る表情でベンチに何かを叫んでいる。
「多くのファン・サポーターの方々がスタジアムへ来てくださっていたので、なかなかうまく通らなかったからか、ついつい大きな声を出し続けていたので」
プレーが途切れたほんのわずか間に、ベンチへ水を要求した藤田は「早くプレーしたい気持ちもあったので、早く水飲みたくて」と叫び声をあげた理由を説明した。ガラガラになった喉を潤し、終盤へ向けて声を元の状態に戻すためだ。