【U23日本代表が浮かび上がらせる、パリ五輪への光と影(2)】“ベストメンバー”で挑めない最終予選の戦い方と、宮本恒靖新会長が「サッカー強国になっていくため」と語る道程の画像
マリ戦で敗北して落ち込むU-23サッカー日本代表。手前は藤田譲瑠チマ 撮影:中地拓也

 U-23日本代表は1996年のアトランタ大会以来、7回連続で五輪出場を果たしている。銅メダルを獲得した1968年のメキシコ大会以降、実に28年も続いた冬の時代を脱し、日本サッカー界の躍進を下支えしてきたのが五輪の連続出場だった。

 しかし、8大会連続出場がかかる今夏のパリ五輪へ、2004年アテネ五輪で監督を務めた山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)が危機感を募らせる。

「今回はアトランタ大会以来、本当に難しく過酷な予選になる」

 4月中旬から中東カタールで開催される、パリ五輪アジア最終予選を兼ねるAFC・U-23アジアカップ。国際Aマッチデー期間外に開催される同大会へは、山本NDは「監督が求めるすべての選手を呼べるわけではない」と厳しい見通しを語る。

 U-23代表の「10番」を託されてきたMF鈴木唯人(ブレンビー)や、ドリブラーの斉藤光毅三戸舜介(ともにスパルタ・ロッテルダム)らは3月シリーズで選外だった。理由は明快。彼らを欠かざるをえない戦いが、4月に待っているからだ。

 ベストメンバーで五輪切符獲得がかかった戦いに臨めない。アンダーカテゴリーでもヨーロッパ組が急増している歓迎すべき状況のなかで、直近の目標であるパリ五輪に限れば“影”と言わざるをえない問題は解決への糸口すら見出せない。

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