当然、試合中にボールが水路に飛び込む。自然の景観を愛するオランダ人たちは、グラウンドの回りに無粋な高いフェンスを張り巡らせたりはしない。せいぜい低い柵が立てられたり、灌木が植えられたりしているだけである。そのため、ボールは頻繁に水に飛び込むのである。その結果、水からボールを救出する専用の道具が必須になる。それが写真の器具というわけである。

■「輪と棒」で運河や水路の流れから救出

 手元にあるHans van der Meer氏の写真集『HOLLANDSE VELDEN(オランダの畑)』というオランダの草サッカーの写真集をめくると、すぐそばに運河や水路のあるグラウンドの写真が次々と出てくる。そして裏表紙には、まさにこの器具の「使用の仕方」の説明のような写真が出ている。

「輪」の部分の内径は、20センチほどではないかと推測される。ボールは直径約22センチなので、ちょうどひっかかるはずだ。そして「棒」の部分は、長さ5メートルはありそうだ。これがあれば、おそらく数十秒もかからずにボールを救出できるのではないか。通常、運河や水路の流れはゆったりとしており、ときにはほとんど流れが感じられないところもある。そうした環境だから、この器具が、各グラウンドになくてはならないものになっているのである。

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