各国の各スポーツには、競技を代表する競技場がある。日本のサッカーであれば、天皇杯決勝などが行われてきた国立競技場が、その特別な場所にあたるだろう。立派な建物で、収容人数も多い。大いに活用されるべきだが、安易な「国立頼み」は正しいことなのか。ベテランのサッカージャーナリスト大住良之が、国立競技場でのJリーグの試合開催の是非を問う。
■FC東京監督「国立競技場が我々のホーム」
Jリーグでも、国立競技場を使用した試合では入場者が飛躍的に増える。新国立競技場でのJリーグ最初のゲームは、2022年4月のJ1第10節、「FC東京×ガンバ大阪」。あいにくの雨天だったが、4万3125人ものファンが押し寄せた。ちなみに、「コロナ前」の2019年、FC東京のホームゲーム平均入場者数は3万1540人で、5万人収容のホーム味の素スタジアムで4万人を超えたのは2試合しかなかった。
「もう1つポジティブな点は、ここ五輪スタジアムでプレーできたこと。FC東京は東京という名を背負っている。このスタジアムはわれわれのクラブの将来の一部を担っているのではないだろうか。徐々にこのスタジアムで試合ができる回数が増えることを期待している。多くの試合を行うことによって、ここが我々のホームだという実感がさらに湧くはずだ」
アダイウトンの先制点とレアンドロの見事な個人技の追加点で2-0と快勝したFC東京のアルベル・プッチ・オルトネダ監督は、ご機嫌に「国立新ホーム論」をぶった。