■「悲惨だった」なでしこジャパン北朝鮮戦ピッチ

 昨年の秋から今年の冬、なでしこジャパンが北朝鮮に2-1で勝ってパリ・オリンピックの出場権を獲得した試合まで、国立競技場のピッチは悲惨だった。この時期に試合が多すぎて、芝生の養生が間に合わなかったのかもしれない。あるいはまた、全観客席にかけられた屋根が日照を遮り、悪影響を与えたのかもしれない。

 南側のスタンド上の屋根は透明な樹脂製で、日光を通すようになっているが、スタジアムの芝生の管理は非常に難しく、極端に言えば、「百のスタジアムに百通りの管理方法」がある。天候、使用状況、日照、風通し、気温など、さまざまな要素が絡み合い、同じ場所にあるとはいえ、旧スタジアムの芝生管理がそのまま生きるわけではなく、まったく新しく試行錯誤を繰り返していかなければならないのだ。

 しかし3月21日のワールドカップ予選、北朝鮮戦では、ピッチ状況は見違えるばかりに改善されていた。部分的な芝生の張り替えも行われたようで、3週間前には砂地が露出して滑りやすかったところも、しっかりとプレーを支えていた。雨が多く、気温も低かったこの時期に、ここまで改善できたのは、今後の国立競技場にとって大きな好材料と言える。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5