キングカズ出場で新記録樹立「東京の新しい顔」が抱える致命的な欠陥【「Jリーグは国立競技場で試合をするべきではない」緊急提言】(1)の画像
Jリーグの試合でも使われる国立競技場。収容人数など最高の設備であることは間違いないが…。 撮影/中地拓也

 各国の各スポーツには、競技を代表する競技場がある。日本のサッカーであれば、天皇杯決勝などが行われてきた国立競技場が、その特別な場所にあたるだろう。立派な建物で、収容人数も多い。大いに活用されるべきだが、安易な「国立頼み」は正しいことなのか。ベテランのサッカージャーナリスト大住良之が、国立競技場でのJリーグの試合開催の是非を問う。

■アクセス最高の「東京の新しい顔」

 東京の国立競技場(東京都新宿区霞ケ丘町10番1号)が第一級のスポーツ施設であるのに、疑問の余地はない。

 1950年代に建設された旧競技場を壊し、2020年に予定されていたオリンピックのために、完全に新しく生まれ変わったスタジアム。収容は6万8000人。総個席で、もちろんすべての観客席が屋根で覆われている。

 さまざまな長所がある中で、この競技場の最大の長所は「アクセス」の良さであると私は思っている。JR中央線の「千駄ケ谷駅」と「信濃町」がそれぞれ徒歩10分圏内にあるだけでなく、地下鉄も3路線が競技場を囲むように走り、大江戸線の「国立競技場駅」はスタジアムのすぐ外に位置し、銀座線の「外苑前駅」、さらに副都心線の「北参道駅」も徒歩10分余り。試合後に混雑を避けたいなら、巨大ターミナルの「渋谷駅」や「新宿駅」まで歩いても大したことはない。こんなスタジアムは、世界にも例を見ない。

 アクセスが最高で、「東京の新しい顔」と言っても過言ではない最新のスタジアム。だが私は、「サッカースタジアム」としては評価できないだけでなく、Jリーグがここを多用することに少なからぬ疑問を抱いている。

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