■現状は野放し「GKのボール保持時間」
昨年からメディアで盛んに議論されてきたのが、「一時的退場(シンビン)」のプロの試合への導入だった。このために「ブルーカード」を使うという具体的な話まで出ていたが、多方面からの反対で、この年次総会では、プロの試合では「試験導入」も認められなかった。
他に興味深いのは、GKのボール保持時間だろうか。現在は、このルールはあってないようなもので、たとえ、GKが20秒間も保持していたとしても主審は「早くプレーするように」と促すだけで何の罰も与えていない。もし主審が「反則」と判定したら、GKがボールを保持していた地点で相手の間接FKとなるのだが、そんなものを見たことがある人がいるだろうか。
しかし、ルール違反の状態を野放しにするのは好ましくない。そこで、今年認められた「試験導入」では、この反則が起きたときには、間接FKではなく、相手チームにCK、あるいはコーナーから11メートルの地点からのスローインを与えられることになるという。そして、その代わりに、最長保持時間を2秒間延ばし、「8秒間」にするという。
IFABのメンバーのひとつであるイングランドサッカー協会(FA)は、この試験導入に非常に前向きで、今夏開幕する「リーグ1」、あるいは「リーグ2」(プレミアリーグから数えると3部、4部のプロリーグとなる)での試験導入を、申請する可能性が大きいと言われている。
大きなルール改正はなかった今年のIFAB年次総会。しかし、サッカーをより楽しめる競技にしようというルール面からの努力は、これからも継続されていく。