■「前半は1週間をかけて準備したものを出しましたけど、それをちょっと崩した」
しかし、追い込まれた湘南戦の後半に、指揮官自らが動いた。これまで左右のウイングで起用されてきた松尾佑介を、興梠に変わる「9番」の位置で投入した。ヘグモ体制では「練習すらしていない」と明かした松尾がこう続ける。
「多分それが後半から僕が入った理由だと思います。前半は1週間をかけて準備したものを出しましたけど、それをちょっと崩した、それまでとは違った形を後半に入る直前に求められて、それを僕たちがピッチで表現する。いままで見えなかった攻撃的なサッカーの片鱗が見えたのはポジティブだったし、不運というかイージーな失点がなければさらに攻撃力を出せる、という希望があると僕は信じています」
右CKからの混戦から55分に松尾が押し込み、64分には右へ展開した岩尾のパスに抜け出した前田直輝が、迷わずにゴール右隅の一番上へ強烈な同点弾を突き刺す。利き足とは逆の右足による移籍後初ゴールを、前田はこう振り返っている。
「あの場面でパスを渡す味方を探すようなウイングはいらないと思う」
直後に前田に代えてFWチアゴ・サンタナを、MF伊藤敦樹に代えてMF中島翔哉を投入。同時にシステムもサンタナを1トップ、岩尾とサミュエル・グスタフソンでダブルボランチを組む[4-2-3-1]にスイッチした。
74分に再びリードを奪われも、誰一人として下を向かない。81分には岩尾のロングフィードを左ウイングに回った松尾が収め、こぼれ球にグスタフソンが右足を一閃。強烈なシュートは相手に当たってコースを大きく変え湘南ゴールに吸い込まれた。
「後半の浦和レッズのサッカーが、監督の目にどのように映っているのか。それは来週のフィードバックなどを含めて、自分たちに降りてくると思っている」