【改革半ばの鹿島が町田戦で露呈した課題(2)】佐野海舟が「自分たちの問題もある」と悔いる“後ろに戻してしまうプレー”。「今まではテンポを上げなくてもいいと思っていた場面でも…」の画像
鹿島アントラーズの佐野海舟 撮影:中地拓也

 今シーズンから鹿島アントラーズの指揮を執るランコ・ポポヴィッチ監督は、練習中にイタリア語の「ブラボー」と日本語の「なんで?」を大声で何度も響かせる。

 前者の対象は標榜するプレーが見られたときや、失敗したとしても果敢にトライしたプレー。対照的に後者のそれはリスクを冒さず、消極的に映るプレーとなる。

 セルビア出身の指揮官は相手のラインを一つ突破した場合に、そこから相手ゴールへ向けて最短距離で、なおかつ手数をかけずに攻め込む形を要求している。

 しかし、ここで攻撃の形が整っていなければ、リスクマネジメントを優先させて攻撃をやり直すか、後方へ一度下げるプレーを選択する形が日本サッカー界には染み込んでいる。森保ジャパンに名を連ねるボランチ佐野海舟もその一人だった。

「ポポさん(ポポヴィッチ監督)とは町田ゼルビアで一緒にやっていたけど、鹿島ではチームとして狙うプレーと自分のプレーがまだマッチしていない。今まではテンポを上げなくてもいいと思っていた場面でも崩しにいくサッカーをやっているので、そこで自分がちょっとでも遅れたらみんなの動きがすべて無駄になる」

 佐野が悩める胸中を語ったのは、2月10日の水戸ホーリーホック戦後。アジアカップを戦っていた関係で、新体制の始動から約1カ月遅れで鹿島に合流した佐野は、指揮官による鹿島版プレースタイルを必死に自身の思考回路に浸透させてきた。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4