■「そうですね。3つあって……」

 今回、小泉に投げかけたのはヴェルディ戦で起きた現象に対する1つのテーマに過ぎない。へグモ監督が掲げる4ー3ー3はシンプルなようでいて、いやシンプルだからこそ、選手の組み合わせや相手の対策に応じて、さまざまなメカニズムが絡む形で、試合のパフォーマンスとして表れてくる。開幕のサンフレッチェ広島、第二節のヴェルディと守備スタイルの違う相手と向き合うことで、新監督で新しいスタイルにチャレンジしている浦和はアップデートの手がかりを多く得ることができた。

 そして第三節はオールコートマンツーマンを守備のベースとする北海道コンサドーレ札幌とのアウェーゲームになるが、そこでも新たな学びを得ることになるだろう。しかし、リーグ優勝をノルマに等しい目標に掲げる今シーズンの浦和にとって、勝ち点と引き換えに学びを得るということは許されない。そこが難しさの1つであることを小泉も認める。

「そうですね。3つあって……相手の変化・対策に向き合うところと、4ー3ー3の完成度を高めるアップデート、アレンジを増やしていく作業を3つ並行にやらないといけなくて。大事なのはそれをしながら勝ち点を拾えるかですね」

 その意味で、大苦戦を強いられたヴェルディ戦で勝ち点1を取れた重みを小泉は強調した。内容が悪くても何とか勝ち点を取って終われるのは、昨年ACLファイナルを制するなど、ここ数年でも数々の修羅場を通ってきた浦和が、監督が代わっても変わらない強みだ。しかし、ここから先は勝ち点3を積み上げていかないと、さすがにリーグ優勝には届かないだろう。

 開幕2試合を終えて、2連勝が1つもない混戦模様のJ1リーグ。浦和が持つポテンシャルは間違いなくトップクラスだが、開幕前に想定されたより難しい状況になっていることは間違いない。ここからチームとして、いかにアップデートしながら、試合を”ドミネート(へグモ監督がよく使う言葉で、支配するという意味)”して行けるチームに進化していくのか。そこで果たす小泉の役割にも目が離せない。

(取材・文/河治良幸)

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