東京V「欧州と同じ目線と2点目の遠さ」 横浜FM「ポステコグルー時代への回帰とトップ下の不在」【2024年J1開幕節で見えた「現在のチーム力」「移籍の成否」の激論】(3)の画像
開幕戦で勝利したのは横浜F・マリノスだった。撮影:中地拓也

 2024年のJリーグが開幕した。J1では10試合が行われ、それぞれ熱い戦いが繰り広げられた。開幕節から浮かび上がった今シーズンの行方、そして優勝候補や降格チーム、新天地を求めた選手たちを、サッカージャーナリスト重鎮の大住良之と後藤健生がズバリ徹底分析する。

■東京V「欧州リーグのトップクラスと同じ意識」

――開幕節で他に良い印象を受けたチームはありますか。

大住「湘南ベルマーレと同じく、結果は本当に気の毒なんだけど、東京ヴェルディはとても良い試合内容だった。本当に素晴らしいプレーを見せていたよ。ただ、これも湘南と一緒なんだけど、やはり2点目を取れない。すごく良いチャンスをつくるんだけど、2点目が遠い。そうなると、勝点はなかなか伸びないよね。それが結局、最終順位につながっていく」

――ヴェルディの良さは何ですか。

大住「とにかく全員が果敢に攻め上がるんだよね。たとえば、サイドの選手が上がった瞬間に、他に5人も6人も全力ダッシュで駆け上がっていくんだよね。ボールを持った選手自身も果敢に相手を抜いていくし、他の選手も点を取れるポジションにどんどん入っていこうとしている。今の世界の潮流というか、ヨーロッパのトップクラスと同じ意識で戦っている感じがするよね」

後藤「去年もJ2で城福浩監督がずっとやらせてきたことが、浸透していったんだろうね」

大住「うん、完全に浸透している。選手の顔ぶれは変わっているんだけど。たとえば、FKを決めた山田楓喜も、先制点の場面以外にも良いチャンスをつくっていたよね。期限付き移籍とはいえ、京都サンガF.C.はこんな良い選手をどうして外に出しちゃうのかと思うくらい、活躍していたよね。それに、交代で出てきた選手もレベルがそれほど落ちないんだよね」

後藤「飛び抜けた選手がいないとも言える」

大住「そうかもしれないけど、シーズンを戦い抜くにあたって、ヴェルディは心配いらないだろうなという感じはするよ。もちろん、センターバックとか、替えの利かないポジションにケガ人が出ると、一気に苦しくなると思うけど」

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