【川崎が磐田に敗戦を喫した中で見せた「意味と価値」(2)】FWエリソンが示した得点だけでない「新エースの気概」。エゴイズムとフォア・ザ・チームを両立させた「9番」の画像
川崎フロンターレのエリソンが反撃の狼煙を上げた 撮影:中地拓也

 ジュビロ磐田のゴール前で、異例とも言える状況が生まれていた。投入されたばかりのFW山田新が83分に、DFリカルド・グラッサに倒されて値千金のPKを獲得した。3-4と1点を追う状況で、しかし、キッカーがなかなか決まらなかった。

 ACLの山東泰山戦でPKを決めた、FWエリソンが川崎フロンターレのベンチから指名されていた。それに対して山田は「駄々をこねていた」と舞台裏を明かす。

「自分が獲得したPKなので、自分が蹴りたかった。練習を通して自分でも調子がいいと感じていた。そうしたらエリソンが『いいよ』と譲ってくれたんです」

 すでに2ゴールを決めていたエリソンにとって、ハットトリックを達成できる絶好のチャンス。そこで大役を託した山田が元日本代表GK川島永嗣から豪快な一撃を決め、再び同点に追いついた場面を試合後にこう振り返っている。

「つねに謙虚な気持ちでいなければいけないと、両親からも教えを受けてきた。自分自身もエゴを強く持っているタイプではない。彼があのように自信を持って蹴りたいと言ったので快く譲った。そこに関しては、まったく問題はない」

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