■期待感の正体とは

 鬼木監督が口にした「期待感」という言葉は、きっと、観ている人も持っているものではないだろうか。公式戦4試合で失点も目立つが、攻撃面ではすでに川崎らしさも発揮。さらに、縦に早い攻撃も見せ、さまざまな可能性を提示している。

 その内容について、指揮官はこう続けている。
「今シーズン目標の一つは失いましたけれども、でも、選手と一緒にこうやって行けば、いいものを見せれるんじゃないかなと思ってますので、修正は必要ですけど、ただ、伸びしろもいっぱいある」

 けっして十分ではなかった準備期間でも見せた、攻撃の形。練度を上げることで、どんなものが見られるのかという感覚がその正体かもしれない。

 なお、鬼木監督はこうも語っている。
「いろいろ人が抜けたときは、“自分がやらなきゃいけない”っていうところも意識もあるでしょうし、それは既存の選手も新しく入ってきた選手たちもやっぱりいろんな意味で比較もされるでしょうし、でもそういうものを全部みんなが素直に力に変えているなって感じています。

 あとはやっぱり単純に、質的にも面白いものが作り上げられそうなところがあるので、そこはひとりひとりの技術の部分を強みにしていきたいし、なっていくと思ってます」

 進べき道は明らかだ――。

(取材・文/中地拓也)
(中編へ続く)

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