■国際制裁、防疫措置…開催地を巡るドタバタ劇

 なでしこジャパンがこんなに悪いパフォーマンスしか発揮できない姿は、しばらく見ていなかった。

 しかし、選手たちを責めることはできないだろう。

 ご承知のように、今回のオリンピック予選を巡っては、第1戦の開催地を巡ってドタバタ劇が繰り広げられたのだ。

 第1戦は北朝鮮のホームゲームで、当初は同国の首都、平壌(ピョンヤン)の金日成(キムイルソン)競技場で行われる予定になっていた。

 だが、北朝鮮という国は日本と国交がないばかりではなく、弾道ミサイル発射を繰り返したことで国際的に制裁を受け、西側諸国からは孤立した状態になっている。

 さらに、新型コロナウイルス感染症が拡大すると“防疫措置”として同国は完全に国境を閉ざしてしまった(医療体制の脆弱さを自覚しているからなのだろう)。スポーツ界も、昨年末まで国際交流を絶っていた。

 現在は海外との人的、物的交流も再開されたとはいえ、空路の定期便も飛んでいない状況が続いているのだ。

 普通、国際試合が行われる場合、対戦国(今回の場合なら、日本サッカー協会の)スタッフが事前に現地入りし、スタジアムの施設や宿泊施設などを視察して、現地協会と打ち合わせを行うのだが、前述のような状態のため、日本側は現地入りすることもできなかった。

 日本側からのそうした申し立てを受けて、アジア・サッカー連盟(AFC)は北朝鮮側に「中立地開催」を提案したのだ。

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