Jリーグ開幕まで1週間を切った。2月17日には、今季初の公式戦「FUJIFILM SUPER CUP」が行われた。川崎フロンターレがヴィッセル神戸に勝利した一戦は、今季のリーグの趨勢を占うものでもあった。2024年のJリーグの行方を、サッカージャーナリスト後藤健生が読み解く。
■バルセロナ流「ティキタカ」の終焉
川崎と横浜FMがタイトルを保持し続けた6年間はボールを保持してビルドアップする超攻撃的サッカーがJ1リーグをリードした時代だった。
この流れに大きな変化が生まれたのが昨シーズンだった。
2022年シーズンには、すでにその兆候は明らかだったが、堅守からカウンターをしかけるチームが増えてきたのだ。
それは、直接的には川崎フロンターレや横浜F・マリノスの攻撃的サッカーに対抗するための戦術的工夫だったのだろうし、また、世界のサッカーのトレンドを取り入れたものでもあった。
10数年前にはバルセロナの「ティキタカ」がヨーロッパのサッカー・シーンを席巻した。
ヨハン・クライフの攻撃的パス・サッカーを発展させたスタイルで、チャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタがけっして攻め急がずにパスをつなぐことによって相手の守備陣にスペースを生み出し、そのスペースを利用してリオネル・メッシが気持ちよくプレーした。
当時の日本のメディアはバルセロナの天下が永久に続くかのように書き立てたが、「ティキタカ」の天下は今でははるか昔の話となった。
バルセロナの退潮(衰退)はチャビ、イニエスタ、メッシが相次いでピッチを離れることによるものでもあったし、また、サッカー・スタイルの潮流の変化によるものでもあった。