三笘薫時代からの川崎「パス・サッカー」封印で神戸「カウンタープレス」撃破【川崎フロンターレVSヴィッセル神戸戦が示した「2024年Jリーグ」の覇権】(1)の画像
今季初の公式戦は、ファン・ウェルメスケルケン・際のゴールで川崎フロンターレが勝利した。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 Jリーグ開幕まで1週間を切った。2月17日には、今季初の公式戦「FUJIFILM SUPER CUP」が行われた。川崎フロンターレヴィッセル神戸に勝利した一戦は、今季のリーグの趨勢を占うものでもあった。2024年のJリーグの行方を、サッカージャーナリスト後藤健生が読み解く。

■天皇杯優勝チームとJリーグ王者が激突

 2月17日に、東京・国立競技場でJリーグ新シーズンの開幕を告げる「FUJIFILM SUPER CUP」が行われ、2023年度天皇杯優勝の川崎フロンターレがJリーグ・チャンピオンのヴィッセル神戸を1対0で破った。

 決勝点となったファン・ウェルメスケルケン・際のゴールは、相手のクリアボールがうまく転がってきたもので、シュート数も両チーム10本ずつ。神戸にとっては不運な敗戦ではあったが、内容的にはやはり川崎が主導権を握った試合だった。

 川崎はAFCチャンピオンズリーグACL)ラウンド16のゲーム直後だったため、2月13日の山東泰山戦からスタメン11人全員を変えて戦ったにも関わらず、ほぼベストメンバーで戦った神戸に対して勝利したのだから、川崎の選手層の厚さを見せつけた試合となった。

 ただ、この試合は公式戦とはいっても、チームにとってはあくまでもリーグ戦開幕1週間前に行われるプレシーズンマッチであり、勝敗には大きな意味はない(ACLですでにタイトルのかかった試合を戦っている分、メンバーをすべて変えていたとはいえ、川崎のほうが戦えるコンディションだったのかもしれない)。

 しかし、この試合は、まもなく開幕する2024年のJ1リーグの行方を占うという意味では、非常に興味深い対戦カードだった。

 なにしろ、2017年に川崎がJ1リーグで初優勝を決めて以来、6年間にわたって川崎と横浜F・マリノスがともに超攻撃的スタイルでJ1リーグのタイトルを独占してきたのだが、昨年(2023年)は神戸が「カウンター・プレス」型のサッカーで優勝を遂げたのだ。

 つまり、「FUJIFILM SUPER CUP」は川崎の「パス・サッカー」型と神戸の「カウンター・プレス」型という2つの異なったスタイルのチームが激突する試合だった。「今シーズンのJリーグの趨勢を占う試合」と言ってもよかった。

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