■憲剛、三笘時代からの「超攻撃的サッカー」で台頭
前にも述べたように、J1リーグでは2017年以来、川崎と横浜F・マリノスが優勝を独占してきた。
いずれも、非常に攻撃的なサッカーで相手を圧倒しての優勝だった。
川崎のサッカー・スタイルはもちろん「パス・サッカー」。けっして攻め急がず、何度も“キャンセル”を繰り返し、パスを回しながら相手の守備の穴を見つけて、そこから一気にテンポアップして相手の守備組織を崩し切ってしまうサッカーだ。
もちろん、その中でたとえば中村憲剛がロングパスを使ってチャンスを作ったり、マルシーニョがスピードを生かして抜け出したり、三笘薫が超絶ドリブルでゴールを陥れたりするなど、さまざまなバリエーションはあった。だが、基本的に川崎のサッカーが「パス・サッカー」であることには誰も異論はないだろう。
一方、今では世界的な名声を手にしたアンジェ・ポステコグルー監督が横浜FMで築き上げたのは、スピードを生かしたアップテンポなサッカーだった。そして、サイドバックの選手がセントラルMFとしてプレーしたり、オーバーラップをしかけたり、あらゆるポジションでボールを持った選手を後方から追い越していく動きによって分厚い攻撃を展開した。
いずれにしても、川崎と横浜FMがタイトルを保持し続けた6年間はボールを保持してビルドアップする超攻撃的サッカーがJ1リーグをリードした時代だった。
この流れに大きな変化が生まれたのが昨シーズンだった。
2022年シーズンには、すでにその兆候は明らかだったが、堅守からカウンターをしかけるチームが増えてきたのだ。