■アジアでもたついているチームがW杯で上位に食い込めるのか

 攻撃ではリスタートに課題を残した。

 CKやFKからのチャンスは限定的だ。CKは久保建英がキッカーを任されていたが、デザインされたパターンはついに見られなった。

 集合して数日で試合に臨む通常の活動と異なり、アジアカップは準々決勝敗退でも1カ月弱の活動となった。日々のトレーニングは試合へ向けたものだったが、インドネシア戦からバーレーン戦までは中6日の試合間隔があった。CKやFKのパターンを練る時間的猶予はあったと考えていいが、ノックアウトステージでもはっきりとした変化は見られなかった。

 一発勝負のノックアウトステージでは、リスタートの価値が高まる。アジアカップでもW杯でも変わらない真理だ。世界の8強や4強を目ざすのであれば、リスタートの改善は必要不可欠と言える。

 目標としていたアジア王者は逃したものの、個々の選手にとっては貴重な経験となった。

 大会を通して批判を浴びたGK鈴木は、成長につながる教訓を得た。プレータイムが限られたMF佐野海舟やFW細谷真大も、個人的に多くの刺激を得たはずである。

 森保監督のもとで国際経験を積んでいる選手のなかにも、アジアカップ出場は初めてだった選手が少なくない。アジアカップ経験者が5人だった今回とは一転して、4年後は2度目の出場となる選手が多くなるだろう。コンディション調整やアジア特有の難しさを肌で感じた選手が増えるのは、今回のチームとの大きな違いだ。

 アジアカップで優勝を逃したからといって、何か大きなものを失ったわけではない。ヨーロッパや南米の国々からすれば、日本のベスト8敗退は「そういうこともある」といった受け止めだろう。国際的な評価が急落することはない。

 しかし、真剣勝負で勝てなかったという事実は無視できない。3月に再開されるW杯アジア2次予選とそれに続く3次予選の戦いぶりには、これまでよりも厳しい目が向けられることになる。

 アジアカップとW杯は、まったく違う種類の戦いだ。それは間違いない。ただ、アジアでもたついているチームが、W杯で上位に食い込めるとは思えない。森保監督と選手たちは、W杯予選ではっきりとした力の差を示す必要がある。

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