■「立ち位置的なカオスはない」
その意味ではアンカーの選手は司令塔な的な存在になる。ただ、インサイドハーフが落ちてこない分、アンカーとセンターバックが多少、相手のプレッシャーを吸収して、攻撃的なポジションの選手たちを解放する役回りになる。だからこそ、これまではある種、可変的な立ち位置でごまかせていた個人戦術の部分で、より研ぎ澄ましていく必要があり、そこに関しても岩尾は前向きなチャレンジの機会と捉えている。
「立ち位置的なカオスはないので、自分のファーストタッチだったり体の向きだったりにフォーカスするのは昨年とまた違うメリットもあると思うので。失わないようにしないといけないですけど、そこばっかり考えるとウイングのところに行かないので。バランスとプレー選択のところはチャレンジして引き出しを増やしていかないといけない」
来日したばかりだが、へグモ監督の”申し子”であるスウェーデン代表のサミュエル・グスタフソンも控えている。リカルド・ロドリゲス、マチェイ・スコルジャと二人の外国人監督の元で中盤の主力を担った岩尾にとっても安閑とできないが、今年36歳になるMFにとっても新たな刺激になっているのは間違いない。
そのアンカーのポジションではここに来て、安居海渡もテストされており、2試合目のトレーニングマッチとなったベガルタ仙台戦では攻撃の起点としてスムーズに機能していた。逆に最初の段階でアンカーだったレンタルバックの武田英寿が右のインサイドハーフに移り、効果的なサイドチェンジで新境地を開拓中だ。プレシーズンのうちは色々なテストを重ねながら、スペシャルとポリバレントをうまく組み合わせて、チームの完成度を上げていくのだろう。