■ワールドカップ出場への思い
アジアカップが24チームになったこととともに、ワールドカップが次回の2026年大会から出場48チームとなり、アジアに8・5もの出場枠が与えられていることも、東南アジア勢の大きなモチベーションとなっている。もちろん、これはアジアの全チームに共通することではあるが、中でも東南アジアのチームを強化するのに小さくない意味をもっている。
前述したマレーシアのDFコールズは、ベルギー人の父、マレーシア人の母をもち、マレーシアで生まれたが、幼い頃にベルギーに移り、そこでサッカーを始めた。ベルギーのU-19代表に選ばれる有望株ではあったが、2021年、24歳のときにマレーシア代表としてプレーすることを選択する。その背景に「ワールドカップ出場」という明確な目標があったのは間違いない。
こうした例が、ベトナムでも、タイでも、インドネシアでも見られるようになってきている。アジアカップの決勝大会に進出して、日本、イラン、韓国、サウジアラビアなどの「ビッグネーム」に公式戦でチャレンジするチャンスが大きくなったこと、そしてサッカー選手なら誰もが夢見るワールドカップに出場できるかもしれないという思いが、「ルーツの国」の代表を選択させている。30年ほど前からアフリカのサッカーを突き動かしてきたモチベーションが、アジアの、なかでも東南アジアのサッカーを変える大きな力になっているのだ。