■ハイレベルな競争の中での“絶対的な軸”

 チームは11日に始動し、23日から宮崎キャンプがスタートしたが、昌子源の抜けたセンターバックの補強は急務となっている。現状は候補が植田直通関川郁万、津久井佳祐の三人しかいない。植田と関川に関してはここで改めて説明するまでもないが、津久井は昨シーズン怪我からのリハビリでスタートしたこともあり、試合に絡めなかった。昌平高の主将として選手権を賑わせたタレントであり、鹿島で逞しさも増している印象だが、実戦レベルで未知数なところはある。

 アカデミー育ちで二種登録のDF松本遥翔は右サイドバックを得意とするが、センターバックも可能ではある。ただ、主力にもなりえた外国人センターバックを組み込めなかったことは間違いなく誤算であり、吉岡宗重フットボールダイレクターを筆頭とした強化部は大急ぎで新戦力の獲得に動いているはずだ。

 そのほかのポジションに関してはハイレベルな競争が発生しそうだが、絶対的な軸と言うべき選手がキャプテン兼選手会長に指名された柴崎岳だ。

 昨シーズン途中にスペインから帰ってきた司令塔は岩政大樹前監督をして「ピッチにいるだけで空気が変わる」という存在だが、合流間もなくして怪我をしてしまい、タイトルの可能性もあった終盤戦に絡むことができなかった。荒木遼太郎が期限付き移籍でFC東京に去ったことで、空き番になる可能性もあった10番を引き受けた柴崎。始動日の時点でキャプテン就任のリリースは出ていなかったが、振る舞いを見ても容易に予想できるものだった。今年の鹿島が柴崎を中心に回っていくことは間違いないだろう。

(取材・文/河治良幸)
(後編へ続く)

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