■大会を盛り上げた主役たち
準決勝のI神戸戦でもEL埼玉は準々決勝のベレーザ戦とまったく同じメンバーでスタートした。CKに合わせた田中美南のヘディングシュートがポストを直撃するなど、I神戸に何度か決定機を作られたものの、EL埼玉は失点を防いでいた。
ところが、37分、愛川陽菜からのパスを追った田中が倒され、I神戸がPKを獲得。田中自身が決めて前半のうちにI神戸がリードすることに成功した。
EL埼玉としては、“方程式”が崩れてしまったのである。
そこで、EL埼玉は想定よりも早く、後半開始から祐村を投入。ツートップに変更して攻撃モードに入った。そして、52分に祐村が落としたボールを吉田が決めて振り出しに戻すことに成功する。
だが、61分にはI神戸が左ウィングバックの北川ひかるが持ち込んで、最後は右WBの守屋都弥が決めて再びリード。しかし、EL埼玉も粘って、83分に右からのクロスを祐村がボレーシュートを決めて再び同点。
前半はシュートがなかったEL埼玉は、後半もシュートはわずかに4本だった。だが、その4本のシュートで2ゴールをゲット。さらに、77分にも吉田のシュートがポストに嫌われる場面もあった。非常に効率的なカウンターだった。
結局、延長後半の終了間際に、I神戸の北川がゴール前に上げたクロスがそのままゴールに飛び込んで、EL埼玉は土壇場で涙をのんだが、ベレーザ戦の勝利に続いて強豪を追い込んだEL埼玉は今年の皇后杯の主役の一つだった。
今シーズンの皇后杯は、こうして浦和対I神戸の「頂上決戦」となったのだが、リーグ戦で下位にいる広島やEL埼玉の健闘で盛り上がることになった。