■「試合巧者になるためのレッスン」
とはいえ、冨安にしてみれば、相手に流れを持っていかれ、リスタートから失点した後半の時間帯のマネージメントが大きな反省点だったという。
「あの時間帯はボールを失うシーンがかなり増えちゃって、相手に流れを渡しちゃった。そこは僕も含めて責任があるし、課題が残った部分。本当に短期決戦、トーナメントを戦っていく上で、早い時間帯で3ー0、4ー0にして試合を殺し切ることができれば、イエローカードをもらっている選手は交代できたり、出場時間が長い選手を代えたりっていうのができた。今回は、試合巧者になるためのレッスンだと思ってます」と闘将は勝っても細部を追求していく構え。そういったスタンスを持てるから、彼はアーセナルでミケル・アルテタ監督から信頼を寄せられ、複数ポジションで起用されるのだろう。
その冨安も久保建英(レアル・ソシエダ)、上田綺世(フェイエノールト)らと同様に、カタールW杯で挫折を味わった1人。第1次森保ジャパン時代から守備の要の1人と位置づけられながら、2021年からケガが頻発。コンスタントにプレーできず、初めて世界舞台でもフル稼働が叶わなかった。しかもクロアチア戦では不用意なミスも目立ち、到底、冨安のパフォーマンスとは思えない出来だった。
「今大会はトップパフォーマンスを出せた試合はなかった。ケガを含めてホント、嫌になりますね。自分は何をやっているんだろうという気持ちが強い分、どうしたらいいんだろうという感じです」と吐き捨て、荒々しい感情を爆発させたのだ。日頃、冷静な冨安がそんな姿を公の場で見せるのは初めて。それだけ事態は深刻だったのだ。