■「でも、ノボリは特別かな」

 この日の取材対応での小林の言葉は、いつもよりも小さかった。それは、大事な言葉だからこそ、特別な思いだからこそ、丁寧に言葉を繋ごうとしているからかもしれない。それでも、登里の移籍への最後の質問としてセレッソ大阪との試合が楽しみか聞くと、声は一気に明るくなった。

「そうですね、もちろん。ノボリとやれるのはすごい嬉しいですし、ノボリに限らず一緒にプレーした選手との対戦は毎回楽しみにしてますけど、でも、ノボリは特別かな。しっかり勝ちたいですね」

 このオフには中村憲剛氏と会って、改めて受けた言葉がある。それは、「ギラギラしていろ」というもの。

「“お前はギラギラしてろ、それがチームにパワーを与えるから”と言われて。悠が気持ちと背中で引っ張っていくことで、チームが一番いい方向へと進むと」

 気持ちを新たにした小林の取材後、続いて、鬼木達監督に登里への想いを聞いた――。

(取材・文/中地拓也)

(後編へ続く)

(2)へ続く
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