1月12日、川崎フロンターレが麻生グラウンドで始動した。今シーズン初めてとなる全体練習を、いつもと変わらない青空の下でこなした。
しかしそのピッチの上には、去年とはガラっと変わった選手・スタッフの姿があった。昨年12月に天皇杯のタイトルを獲得し、その後のACLグループステージ最終戦・蔚山戦を終えてチームが解散すると、多くの“入れ替え”があったからだ。
その一人が、登里享平のセレッソ大阪への移籍だった。このチームで15年間を過ごした左SBの完全移籍が発表されたのは1月6日のことで、2010年から14年間チームメイトだった小林悠にとっても辛いものだった。
「彼が移籍する直前までけっこう話して、でも彼なりの思いというか、最後にチャレンジしたいっていう気持ちがあって、それはすごく分かりますし……」
小林は、悩む登里とのやり取りをそう振り返る。移籍が決まるまで小林は毎日、“盟友”に電話をした。「彼の気持ちもやっぱり“残りたい”、“移籍したい”という風に変わるので、それもすごい分かりますし」と揺れ動く気持ちに寄り添いながら、丁寧に気持ちを伝えていった。
そんな登里が川崎を離れ難かった理由は、「フロンターレっていうチームはやっぱいいチームだし、大好き」という想いだった。電話越しにこの言葉を繰り返したという。