■懸念される主力級の年齢層
とりわけ、神戸の場合は主力級の年齢層が高い。今季22ゴールでMVP・得点王・ベストイレブンを総なめした大迫勇也は来年5月に34歳になる。山口蛍も同学年で、早生まれの酒井高徳も33歳になる。8月に重傷を負った齊藤未月の穴を埋めた扇原貴宏も来年33歳、今季10ゴールの武藤嘉紀も同32歳という状況で、何らかのアクシデントが起きないとも限らない。今季は2022年にケガ続きだった大迫が奇跡的に一度も離脱しなかったため、安定した戦いができたが、来季以降も同じ状況が続くという保証はない。
今季は20代の佐々木大樹、初瀬亮、山川哲史、前川黛也らが成長。重要な役割を果たしたが、彼らが大迫や山口、酒井高徳同等の影響力を発揮し続けられるとも言い切れない。もちろんそういう存在になってくれれば吉田孝行監督にとっては力強い要素だが、いずれにしても現有戦力だけではタイトな2024年を乗り切れない。そこはクラブ側もしっかりと認識し、対応を考えているはずだ。
今のところは横浜F・マリノスからGKオビ・パウエル・オビンナ、そして筑波大学のGK高山汐生、MF山内翔の加入とU-18の本間ジャスティンの昇格しか正式発表されていないが、今後の目玉補強はあるのか。大迫や山口が今の主力がパフォーマンスを維持したうえで、効果的な新戦力がチーム力を引き上げられるのか。そこが神戸のJ1連覇の重要なカギになってきそうだ。
(取材・文/元川悦子)
(後編に続く)