J2の最終節で逆転2位となり、劇的な自動昇格、1年でのJ1復帰を決めたジュビロ磐田。FIFAの裁定による1年間の補強禁止という厳しい状況で、カタールW杯で”森保ジャパン”の参謀を務めた横内昭展監督はデュエル、切り替えといった原則を徹底して鍛えながら、徐々に守備戦術や攻撃のコンビネーションを植え付けた。
”降格組”ということで前半戦はルヴァン杯も並行して戦わなければいけなかったが、それに対して横内監督はネガティブに捉えることなく、横浜F・マリノス、北海道コンサドーレ札幌、サガン鳥栖というJ1の相手に全力でぶつかる中で、チームの強度を高めた。
ルヴァン杯を4試合終えて迎えた5月から7月にかけて、リーグ戦10勝5分1敗という成績は決して偶然ではない。特に厳しい試合展開で勝ち点を手繰り寄せるチーム力は、横内監督はもちろん、山田大記キャプテンをはじめとした経験豊富な選手と若手が一体感を出すことで、作り上げたものだ。
見方を変えると、試合内容を見ても分かる通りJ2の中で飛び抜けていたわけではなく、町田ゼルビアと清水エスパルスに1分2敗、東京ヴェルディとも2引き分けと、上位に勝ちきれていない。実際に得失点差を見ると町田と清水が+44で磐田は+30と13もの差がある。接戦で強さを発揮したことは素晴らしいが、ベースの部分でいかに苦しんだかを示すデータでもある。