【3年ぶりのH&AでJ1川崎が挑んだ、ACLアウェイの舞台裏(3)】すでに“分刻み”の過酷スケジュールが来季はさらに過酷に……間近で見た「選手・スタッフの総力戦」の画像
ACL蔚山戦後にサポーターに挨拶する川崎フロンターレの選手。チョン・ソンリョンや橘田健人らは温存され、大関友翔はプロ公式戦を迎えた 撮影:中地拓也

 川崎フロンターレは今季、3年ぶりにホーム・アンド・アウェイ方式が復活したACLで、3度のアジア遠征に挑んだ。その3試合は2勝1分と無敗。日程的に厳しい中で、見事に結果を出した。

 来期、川崎フロンターレはプレミアリーグのCL出場チームをも凌駕する過酷な日程をこなす予定になっている。今季のACLグループステージを無敗で勝ち上がり、そして天皇杯を制したことで、来季のACL出場も決まっているからだ。そんなシーズンを前に、今季のACLアウェイ試合の舞台裏を紹介したい。

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 川崎にとってACLのアウェイ3戦目は蔚山戦だった。グループステージ最終戦を前にすでに突破を決めており、気持ち的には比較的気負えずに挑めた試合だったのではないか。

 天皇杯決勝を柏レイソルと争い、120分では決着が付かずにPK戦までもつれこんだ激戦から中2日。選手のコンディション的には最も厳しいタイミングだっただけに、ACL開幕当初から選手やスタッフが口にしていた「最終戦で決まる状況に持って行ってはいけない」という“危機感”には脱帽するしかなかった。

 ACLではどの試合でも、レギュレーションとして前日に公式練習と公式会見が行われる。蔚山戦前日もそれは行われたのだが、メディアとして参加したのは日本から来ているフリーランスの江藤高志氏と筆者だけ。オフィシャルのムービー以外に、韓国メディアはまさかのゼロという状況だった。

 かといって韓国でサッカー人気がないのかといえば、そうでもない。試合当日、選手がバスに乗り降りするエリアには驚くほど多くのファンが駆け付け、蔚山の選手にサインを求めていたからだ。その激しさに柵を設け、警備員を何人も配置するほどで、ある韓国クラブが「選手はアイドルではない」とファン・サポーターに警告するのが納得できるような状況だった。

 また、試合当日は韓国メディアも多く来ており、ミックスゾーンではGKチョン・ソンリョンに大きな人だかりができていた。天皇杯決勝でのPK戦でのことを聞いていたそうだ。

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