【川崎の天皇杯優勝のために山根視来が貫いた“戦う集団”の意識(1)】「チームとして“緩いな”って思った」と語っていた決勝前のホーム試合…日常からの厳しさを求めての画像
ACL蔚山戦でサポーターを向く川崎フロンターレの山根視来 撮影:中地拓也

 蔚山文殊スタジアムを満たす冷たい空気を切り裂くかのようなホイッスルが試合終了を告げた瞬間、川崎フロンターレ山根視来はピッチに膝をついた。頭を下に垂らしたその格好は、体力面で限界が来ていることを何よりも表していた。

 2023年12月12日に行われたACL第6戦、川崎はグループステージ全勝を懸けて戦った。9日の天皇杯決勝で120分を戦い抜き、そしてPK戦までもつれ込みながらの中2日で海外での試合。体力に定評のあるこの右SBであっても、過酷な連戦だったことに例外はない。

「なかなか厳しかったですけど、あれだけのプレーを前半から出た選手がやってくれてたので、最低でも勝ち点1をっていう中で、決勝ゴールを決める何かチャンスを作れればと思って入ったんですけど、きつかったです」

 試合後に素直にキツさを口にしたが、それでも勝利を狙うメンタリティを持てばこそ、鬼木達監督も途中からピッチに送り込んだ。山根のそんな姿勢が川崎にもたらしたものは大きいし、この試合だけに限ったことではない。たとえばホームでのACLパトゥム戦を終えた直後の11月9日、山根はチームに気持ちを求めていた。

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