【神戸のJ1優勝につながった吉田監督の決断(1)】2022年シーズンの残り8試合で選んだ、「バルサ化」と対極にあるハイプレス戦法…「どのようにすれば勝てるのか」の自問の画像
ヴィッセル神戸の吉田孝行監督 撮影:中地拓也
全ての写真を見る

 座して死を待つのか。それとも、人事を尽くして天命を待つのか。ヴィッセル神戸が下位に低迷していた昨年9月。追い詰められた吉田孝行監督は後者を選んだ。

 ここで言う「死」とはJ2降格を指す。開幕から不振が続いた昨シーズンのJ1リーグで、神戸は残り8試合となった段階でも自動降格圏の17位に沈んでいた。

 ここで何をもって「人事」としたのか。自身の決断を吉田監督はこう振り返る。

「もっと、もっと前から行くんだと方向転換しました。私自身、前線からプレッシングをかけるスタイルがもともと好きでしたし、そこは選手たちも同じ意見でした」

 果たして、新たな戦い方が「天命」を手繰り寄せた。終盤戦で14年ぶりの5連勝をマークした神戸は、最終的には13位で残留を決めた。指揮官が続ける。

「自分たちが本当にやらなきゃいけない戦い方とは何なのか、どのようにすれば勝てるのか、といった点にあの5連勝で気づけた。確かな手応えをつかめたんです」

 神戸で現役を終え、指導者の道を歩み始めた吉田監督が古巣を率いるのは3度目。過去2度はともにシーズン途中に就任し、成績不振を理由に途中解任されていた。

 チームの中心にはキャプテンの司令塔アンドレス・イニエスタがいた。楽天グループの創業者、三木谷浩史会長の号令下で、ボール支配率を高める「バルサ化」を追求する方針は、吉田監督が3度目の登板を果たした昨年6月も変わらなかった。

 しかし、昨夏を境にイニエスタはコンディション不良で長期離脱。神戸も中途半端な戦いを余儀なくされた。確固たる結果、つまり残留を果たせなければ、おのずと自身の去就も問われてくる。前出の「死」は3度目の解任も意味していた。

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る
  1. 1
  2. 2