冷たい風こそ吹くものの、春のような青空が広がった２月下旬の麻生グラウンド。緑のピッチを後ろに、瀬川祐輔は“もしサッカー選手”にならなければ、という話に応じた。
川崎フロンターレがプロ５クラブ目となる瀬川は、２０１６年にJ２のザスパクサツ群馬でプロ入り。４２試合に出場して１３得点を挙げる活躍を見せ、翌１７年にはJ１大宮アルディージャへと移籍。“個人昇格”を果たした。
その大宮でも１年を過ごすと、１８年には柏レイソルに移籍。４シーズンを日立台のピッチで過ごした。途中、J２に降格したものの、１年でのJ１復帰に貢献。その後、２シーズンを過ごして、２０２２年は湘南ベルマーレでプレーした。川崎フロンターレは今季からの所属で、リーグ２７試合に出場して６得点を挙げた。
多くのクラブを渡り歩いただけでなく、さまざまなポジションでプレーした瀬川は、いろんな意味でポリバレントといえる。今季はウイングだけでなく中盤や左ＳＢでもプレーしたし、１年目ながら多くの選手とコミュニケーションを取っている。
その経歴を見て苦労人という声も上がるが、最も大変だったのはプロ入りしたときだったかもしれない。明治大学に所属時、瀬川にはなかなかプロからのオファーがなく、一般の就職活動に身を投じざるを得なかった。内々定も得ていて、「ビール会社なんですけど、もしプロになってなかったら居酒屋を回ってビールを売ってました」と振り返る。
