■「本当のポジション争いが始まったときの準備ができた」

 マレーシアでのACLを終えて日本に帰国後、大南に改めてその思いを聞いた。JDT戦後にそうは話していたものの、サポーターからの期待の声が日増しに大きくなっており、すでに大きな存在感を放っている、と。

 それに対しての答えは、「周りと比較されても、やっぱり常に自分に矢印を向けてやっていくことがすごい大事だし、人とは違う。個人的にはそういう声は大事にしてますけど、常に自分に矢印を向けてやっていきたい」だった。

 それから3か月。自身に矢印を向けたからこそ、最終ラインにおいて出場試合数を重ねてきた。大南にこの1年間のポジション争いについて聞いてみると、意外な言葉が返ってきた。

「怪我とかチーム全体としてのイレギュラーがあって、そういった中では本当のポジション争いっていうのはしてしてないのかなって思います。でも、良くも悪くもその中で怪我をほとんどせずにシーズンを戦えたっていうのは、自分の中で怪我をしないことが特徴で強みだと思うので、本来のポジション争いはできてないかもしれない」

 ただし、それでも掴んだ試合出場で大いに成長した。だからこそ、「本当のポジション争いが始まったときの準備が今年は個人的にはできたのかな」とも話したのである。成長と順応。ピッチの上で過ごした時間は、ライバルを迎え撃つ自信に変わっていた。
 そんな大南にとって、古巣とのタイトルマッチは何をもたらすのか。この試合に勝てば、手にするものはタイトルだけではないだろう。
 1月には森保ジャパンがタイ代表戦を控えている。

「サッカーをやってる誰しもが日本代表は目指してるところだと思うし、そこへの思いは変わらず常に持ってます。1月に選ばれたい」

 日本中から注目されるタイトルマッチで、まずは古巣チームの攻撃陣をシャットアウトする。

(取材・文/中地拓也)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4