■ACLで掴んだ自身
そのJDTとアウェイで戦ったACL第1戦は、大南にとって転換点の一つでもあった。ACLという初めてのアジアの舞台でピッチに立つと、1-0で勝利したチームにおいてMVPに選ばれた。最終ラインでの奮闘が、AFCから称賛されたのだ。
「こうした国際大会で、ふだんやれないような相手と試合ができるので、そういう経験ってめったにできないので、それをできるのはすごい嬉しいし、自分にとってはすごいプラス」
試合後の蒸し暑いミックスゾーンで充実感にあふれた表情でこう語った大南は、さらに、「個人的にはちょっとずつですけど、成長してるなと実感しています。それが楽しさの一つにもなってます」とも説明した。そして、次のように続けたのだった。
「このチームでタイトルを取りたいっていう気持ちで来てるので、そのタイトルを取る中で試合に出られたらいいと思うので、その目標が自分の大きい原動力です」
タイトルを渇望する大南だったが、その流れで口にしたのが谷口彰悟とジェジエウの存在だった。谷口とジェジエウという強力なCBコンビの安定感が、川崎のタイトル奪取を下支えしてきた。谷口は今では日本代表の常連で、代表ウイークの度に川崎サポーターの間で話題に上る。
そんな“前任者”の存在感は今も大きく、「やっぱりどうしてもジェジがいなかったりとか、彰悟さんがいなかったりとかってところで比べられてしまうので、それに負けないくらい自分の力をつけたい」と、移籍1年目での重圧とも言える状況を明かしたのである。