■家長&遠野との現地観戦で得た刺激
タイトルを取りたいという言葉を何度も口にしていることはすでに書いたが、その気持ちを強めたのが11月4日に行われたルヴァンカップ決勝の現地観戦だった。国立競技場で行われたアビスパ福岡と浦和レッズのタイトルマッチに、家長昭博と遠野大弥と3人で駆け付けた。福岡DF奈良竜樹のユニフォームを着用した家長と並んで座ると、PKの場面などで気持ちを高揚させるなど、サポーター目線で観た。遠野は、試合後に3人で食べた韓国料理店でもさまざまな話で盛り上がったと話していたから、大きな刺激になったことは間違いない。
大南自身、福岡の初戴冠を「現地で見て、タイトルを獲りたいっていう気持ちがより強くなって、そういうチャンスってなかなかない中でそこに自分がいるので、そのチャンスを掴みたい」と話す。
現時点で、大南は天皇杯決勝において最終ラインでスターティングメンバーに名を連ねる有力候補である。しかし、今季開幕戦のキックオフはベンチで迎えた。シーズン当初、大南にとっての目の前の目標はポジション争いで勝つことだった。谷口彰悟が抜けたとはいえ、ジェジエウや車屋紳太郎が控えるCBの壁は高く、右SBでは絶対的存在と言っていい山根視来もいた。
そんなポジション争いについて、最終節を残した時点で大南本人に聞くと、「本当のポジション争いっていうのはしてない」という意外な言葉が返ってきた――。
(取材・文/中地拓也)
(後編へ続く)