■次のW杯も視野に

 もう一つは、国際経験である。

 アルゼンチン戦での序盤の試合運びの失敗も、そうした試合展開を経験していれば解決できただろう。実際、セネガル戦、スペイン戦ともに選手たちの意識は変わっていた。セネガル戦で僕が感心したのは、高岡のゴールが決まって1点を先行した後の試合運びだった。得点したのが62分。1点を失ったことで相手が猛攻を仕掛けてくるかもしれないし、日本の選手たちが「1点を守ろう」と引き気味になったり、逆に自信を持ちすぎて不用意に2点目を狙って行ったら逆を取られてしまう可能性もある。

 だが、日本の選手は1点を先行しても、浮かれることもなければ、消極的になることもなく、それまでと同じように攻守のバランスを保って、沈着冷静に試合を進めて勝利を手にした。

 これも、アルゼンチン戦の経験が活かされたのだろう。

 今大会に出場したU-17世代の選手たちは中学校後半からいわゆる「コロナ禍」のために試合経験を積むことができなかった。16歳になって初めてパスポートを取得した選手も多かったと聞く。ヨーロッパの強豪と対戦した経験は、アジアカップ後の9月の欧州遠征でポルトガル、イングランド、フランスと対戦した3試合しかなかったのだ。

 今回のU-17代表の選手たちも、インドネシアでの冒険の経験を忘れることなく、さらに今後は海外遠征で世界のトップとの対戦を経験することで(あるいは海外クラブに移籍して)経験値を上げ、2年後のU-20ワールドカップや2028年のロサンゼルス・オリンピック、さらに2030年のワールドカップでリベンジを果たしてもらいたいものだ。

 いや、2026年のワールドカップの時には彼らはもう20歳。そこでワールドカップ出場を果たしとしても、まったく不思議はない。

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