■「巻いてから感じることは多かった」

 そうしたサイドバックとしての役割に加えて、彼にはもう1つ大きな役割があった。A代表としては初めてキャプテンマークを巻いたのだ。

「責任感というのはより一層感じた。特別だなとは感じたので、嬉しかったですし、その分、責任というものに対してだったり、チームのマネージメントは意識するものが多かったかなというふうに思いました」

 遠藤航のベンチスタートが予定されていた中で、ゲームキャプテンというのは事前に伝えられていたという。ただ、年長者の谷口彰悟や9月のトルコ戦でキャプテンを担った田中碧などもスタメンにいた中での抜擢というのは森保一監督のメッセージがあるのだろう。中山は「僕の中では巻こうが巻くまいがやることは変わらないので。そこまでびっくりはしなかった」と語る。

「僕の考え的には誰がやってもいい。特にオリンピックなんかはマヤくんが巻きましたけど、僕は巻こうが巻くまいが、思ったことは発言しようと思ってますし、チームが良くなるならどんどん発信していこうっていうタイプなので」

 しかし、いざ試合になって「巻いてから感じることは多かった」とも振り返る。これまでキャプテンマークに関係なく、ピッチ内外で自分なりのリーダーシップを発揮してきた中山であっても、キャプテンの責任というものは巻いてみて初めて感じるものなのだろう。それは怪我でカタールW杯を逃したその日から、26年W杯に向けた挑戦がスタートしていたという中山にとっても忘れられない日になったはずだ。

(取材・文/河治良幸)

(後編に続く)

(2)へ続く
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