■パスミスから水戸に先制され…
0対0で迎えた後半開始から、清水は3-4-2-1にシステムを変更する。49分には乾がミドルシュートを、51分には右CKのセカンドボールをMF白崎凌兵がフィニッシュへつなげる。52分には左ウイングバック山原怜音のクロスを、ペナルティエリア内で白崎がヘディングで合わせた。システム変更をきっかけとしてピッチの幅を広く使いながら、清水は質的優位を生かしていく。守備においても、前線からのプレスがハマり出した。
56分にも山原が好クロスを供給すると、チアゴ・サンタナが頭で狙う。59分にはロングカウンターを仕掛け、DF原輝綺のヘディングシュートがGKを襲う。清水は流れをつかんでいる。ここで先制できれば、試合の主導権を一気に掌握できる。
ところが、スコアを動かしたのは清水ではなく水戸なのだ。62分、CB高橋祐治のパスを自陣でカットされると、そのままゴール前へクロスを供給されてヘディングシュートを決められてしまった。
ビハインドを背負った清水は、68分に2枚替えをする。DF北爪健吾とFW北川航也が投入される。80分には高橋とMFホナウドを下げ、DF岸本武流とMFベンジャミン・コロリがピッチに立つ。その直後だった。81分、左サイドの山原の高精度クロスを、エースFWチアゴ・サンタナが強烈なヘッドでしとめる。清水は同点に追いついた。
他会場の途中経過では、3位の磐田がリードしている。清水は勝たなければ2位から転落してしまう。88分、右CKからベンジャミン・コロリが至近距離から狙う。これがわずかに、ほんのわずかにバーをこえていく。
時計の針はアディショナルタイムへ突入する。残された時間は5分だ。90+2分、チアゴ・サンタナの左足が火を噴くが、ゴール左へ際どく逸れる。勝ち越しゴールを、J1自力昇格を、最後まで、最後まで求めたが、終了のホイッスルは歓喜ではなく落胆を告げるものだった。
磐田、東京Ⅴが勝ったことで、清水は4位に転落した。試合後の秋葉監督は、真っ直ぐ前を向いて話した。
「まだまだ自分を含めて心が弱いというところ。あの後半の躍動感を前半からやらなければ、こういうゲームが待っている。ただ、ここからプレーオフふたつ、この弱さを克服するチャンスだと思っていますので、J1へ乗り込むために、何が何でもあと2試合、しっかりとしたものをお見せして、必ずJ1へ返り咲きたいと思っています」
11月25日または26日開催のJ1昇格プレーオフへ向けて、清水はもう一度牙を研ぐ。