■中東情勢の行方は
その他にも、中東地域には様々な対立の構図が存在する。
シーア派大国のイランとマッカなどの聖地の守護者を任ずるサウジアラビアという中東の両大国は激しい対立関係にある。
そのため、サウジアラビアとイランの試合はずっと中立地で行われてきていたのだが、2023年に入って両国の緊張が緩和されてきたため、今シーズンのACLでは通常のホーム&アウェー方式で試合が開催されることになっていた。
ところが、10月2日にイランのイスファハンで予定されていたイランのセパハン対サウジアラビアのアルイティハドの試合はキックオフ直前に中止になってしまった。スタジアムのピッチ内に、2020年に米軍によって殺害されたイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の像が置かれていたのに対してアルイティハド側が反発したのが原因だった。
このように、様々な紛争の火種を抱える中東地域で戦火が飛び火したり、テロの脅威が高まったりしたら、これから予定されている大会や試合が中止や延期になってしまう可能性もある。
日本代表も11月21日にはワールドカップ予選でシリアと対戦する予定だ(会場はサウジアラビアのジッダ)。だが、イスラエルとパレスチナの間の戦火がシリアに飛び火するようなことがあれば、シリア戦も開催できなくなってしまうかもしれない。そして、アジアカップはどうなるのか……。
サッカー・ファンとしても、パレスチナ紛争、中東情勢の行方には大いに注目しておくべきだろう。