■中国のサッカーバブル

 中国がアジアのサッカー界で巨大な存在になるかとも思われた時期もあった。

 かねてから「サッカー好き」として知られていた習近平主席は中国共産党内での独裁的権力を獲得。同氏の肝煎りで、2015年には中国政府がサッカー強国化を目指した「中国足球改革発展計画」を策定した。当時、中国のビッグクラブは巨額の資金を使ってヨーロッパは南米のスター選手や有力監督と契約を交わしており、現在のサウジアラビアのように世界の注目を集めた。

 中国資本が、ヨーロッパのクラブに出資する動きも活発だった。

 だが、中国共産党は同党の支配下にない民間組織が影響力を持つことを極端に嫌う。そのため、中国政府は民間財閥系のクラブによる選手の“爆買い”を規制するようになり、さらに、最近では不動産バブルが崩壊したことによって中国のビッグクラブを支えていた不動産企業、デベロッパー企業が経営危機に陥ったことで、多くのクラブの経営が悪化してしまう。

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