中東台頭の遠因は「中韓の自滅」と「日本の政治的無関心」【中東に傾くサッカー界のパワーバランス】(3)の画像
日本サッカーはピッチ上では中東に伍しているが… 写真:渡辺航滋

 パレスチナでの紛争に、世界が不安の目を向けている。その影響を、日本も他人事とは考えていられない。サッカー界でも、中東は存在感を増している。良くも悪くも中東が影響を与えるサッカー界でのパワーバランスについて、サッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。

■韓国の台頭と衰退

 アジアのサッカー界の中で、東アジア勢が勢力を伸ばすかと思われた時代もあった。

 1990年代には韓国の現代財閥の創始者、鄭周永(チョン・ジュヨン)氏の六男で政治家でもあった鄭夢準(チョン・モンジュン)氏が大韓蹴球協会の会長となって、日本開催が予定されていた2002年大会の共同開催権を獲得することに成功。鄭夢準氏は、同時にFIFA副会長も務め、アジアのサッカー界の重鎮的な役割を果たしていた。

 鄭夢準には韓国大統領という野望があった。

 日韓共同開催のワールドカップで韓国がベスト4に進出して韓国社会が盛り上がった2002年には大統領選挙が予定されており、鄭夢準氏は出馬を目指したものの、保守側での候補者一本化工作の過程で盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏の後塵を拝して失敗した。

 その後、鄭夢準氏はFIFA会長選挙を目指したのだが、逆に2015年には倫理規定違反で資格停止処分を受けることとなって、サッカー界での影響力を失っていった。

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