■2つの重要ポイント
絵はがきを書くのは、たいてい朝食後である。前の晩に、切手と「航空便」のステッカーを貼り(なければ手書きでいいが)、送り先(住所と名前)を書いておく。大事なのは先に切手とステッカーを貼ることである。先に住所を書いてしまうと、たとえば郵便番号が切手で隠れてしまうことになりかねない。切手は1枚とは限らず、2枚以上になることも多いから、重要なポイントだ。
住所は日本国内で手紙を出すときと同じ形式で、郵便番号、住所、名前の順に日本語で書く。そしていちばん下に目立つように下線を付けて「JAPAN」と書いておけばいい。住所を間違うと絵はがきは「迷子」になってしまう。ここは慎重に、そして確認しながらやらなければならない。2つ目の重要なポイントである。
「宛名書き」と「本文書き」を分けるのは、理由がある。翌朝、朝食後に「本文書き」にとりかかる。ここで3つ目の重要なポイントがある。「かっこいいことを書こうとしない」ことである。取材にきている町の印象、町の歴史やエピソード、これから行われる試合の楽しみなど、思いついたことを文章にしていく。大事なのは書いて届けることである。内容はつまらないものでもいい。とにかくどんどん書く。字も、読めさえすれば、ヘタでも、きたなくてもいい。
ただ、誤字はしないように気をつける。漢字を間違ったりすると恥ずかしい。普段、原稿はすべてパソコンを使って書く。用事があって手紙を書くときにも、すべてパソコンである。文字を書く習慣が激減し、思い出せない漢字もある。そのときには表現を改める。
こうして、私は1枚の絵はがきの本文を書くのに3分間ほどしか使わない。その朝書くものが5枚なら15分程度。仮に20枚あったとしても1時間ほどで終わる。そして書き上がると、散歩ついでに近くのポストまで投函に行くのである。これを習慣化してしまうと、まったく苦ではなくなる。