■小笠原満男「最後まで伸二には勝てなかった」
黄金世代の看板とも言える小野に触発されたのか、同世代の大半が現役に強くこだわった。30歳前半までに引退したのはナイジェリア参戦18人中わずか4人。30代になってインドネシアへ赴き、給料未払いにも直面した酒井友之(浦和ハートフルコーチ)、MLS・チーバスUSAへチャレンジしながらクラブ解散という壁にぶつかった加地亮(解説者)のような選手もいて、生きざまも実にさまざまだ。
小笠原満男(鹿島アカデミーアドバイザー)が「最後まで伸二には勝てなかった。勝負にならなかった」とキッパリ言い切ったのも、どこかで小野を意識し、違ったキャリアを渇望したことの表れではないか。
その黄金世代が切り拓いた道を松井大輔(YSCC横浜)らアテネ世代、本田圭佑ら北京世代、大迫勇也(神戸)らロンドン世代が踏襲し、高みを追い求めたからこそ、日本代表が強くなり、日本人選手の評価も上がった。その事実を今こそ再認識しておくべきだろう。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)