■スタッツ以上に大きな差
横浜FMと神戸の試合はスコアは2対0であり、シュート数も横浜FMの13本に対して神戸が15本と、スタッツとしてはほとんど差がないようだったが、内容的には神戸の完勝だった。
2017年に川崎フロンターレが初優勝を遂げた後、J1リーグでは6シーズンにわたって川崎と横浜FMが覇権を握り続けていた。川崎はもちろん、横浜FMも後方からパスをつないでテクニカルな攻撃を展開するチームだった。
だた、2023年シーズンでは川崎は攻撃力をすっかり失って中位に低迷。昨年の優勝チームである横浜FMも攻撃力に陰りが出ており、今ではアンデルソン・ロペス、エウベルらの個人能力頼りになってしまった。
一方、ここ数年にわたって川崎や横浜FMの攻撃的サッカーに対抗する術を模索し続けた各チームが、前線でプレスを仕掛けてボールを奪い、ショートカウンターを仕掛けるようなサッカーに活路を見出だすようになっていた。
ヨーロッパで、FCバルセロナによる“ティキタカ”全盛時代を経て、カウンター・サッカーが主流となった流れを、Jリーグクラブが数年遅れで再現しているようにも見える(それがサッカーの進歩なのか、退化なのかという価値判断はここでは措くことにする)。